廃車に関する法律が作られた背景
今となっては当たり前となった「廃車に関する法律(リサイクル法)」ですがこの法律が作られた背景にはこのような理由がありました。
豊島事件
1975年頃から香川県の小豆島に隣接する豊島(てしま)で地元業者による不法投棄事件が起き、地元の業者は長年に渡って自動車の粉砕くず等の産業廃棄物を約50万トンを不法投棄しました。
その結果住民らの健康被害にまで発展し住民はこの不法投棄に講義を行い、行政や国までを巻き込んだ大事件までに発展し法律の制定までに至りました。
この不法投棄の背景には日本の高度成長に伴う、大量生産、大量消費、大量廃棄があったものと言われています。
実際に自動車だけで見ても、1980年代から自動車の生産台数が100万台を超えてもさらに増え続けたことも考えられます。
生産台数が増えればそれだけ自動車の購入者も増え、今まで乗っていた車を処分しなければいけない状況になります。
その時代は今と比べてリサイクル技術も劣っていましたから、リサイクルできないゴミは埋め立てられていました。
埋め立てる場所も減っていたため、廃棄費用の高騰もあって不法投棄が増えていったと考えられます。
豊島事件の廃棄物の処理費用はいくらかかったのか?
最終的にこの事件の公害調停が成立して、決着したのは2000年6月です。
この事件の責任を取ることになった香川県は2016(平成28)年度末までに不法投棄された廃棄物と汚染された土壌を豊島から搬出し地下水等を浄化することを約束しました。
で、気になるのは廃棄物の処理と土壌汚染の浄化に一体いくらの費用がかかってしまう計算なのか?
豊島の発表によるとおおよそ800億円がかかると言われています。
実際に廃棄物の撤去が完了したのは2017年3月28日で廃棄物の処理にいくらかかったのかまだ公表されていません。
豊島事件後の法律の制定
豊島事件後、リサイクルに関して色々な法律が制定されました。
- 容器包装リサイクル法 平成7年6月制定
- 家電リサイクル法 平成10年6月に制定
- 自動車リサイクル法 平成14年制定
- 建設リサイクル法 平成12年制定
- 小型家電リサイクル法 平成25年制定
法律によって、ルールを定めてそのルールに従ってもらうことは大事です。
ただ、ルールを作るだけではそのルールを守らない人もいるので守らない場合の罰則などの規定も必要です。
罰則などを付けないとルールを守れないというのは少し寂しい気もしますが第2の豊島事件を起こさないためには必要なことだと思います。
豊島事件を契機として、廃棄物処理法は大幅に改正されました。廃棄物処理施設について規制が強化され、不法投棄の罰金は300万円から1億円まで引き上げられました。さらに、廃棄物処理業の許可の取り消し要件が追加され、排出業者への規制も強化されました。
廃棄物処理法とは別に新たな法律も制定されました。循環型社会形成推進基本法や各種リサイクル法も制定されました。豊島事件は我が国の廃棄物行政を転換する事件となりました。 「NPO法人瀬戸内オリーブ基金のサイトから引用」