迷惑な放置車両の撤去は大変
このご時世、放置車なんて存在するの?と思う人も少なくありません。
全国の市区町村の放置車両に関するアンケートでは全国の市区町村合計で年間数百台の不法投棄車両が発生しています。
広い土地や空き地を持っている人であれば放置車両の撤去を経験している人もいるかも知れません。
放置車両を処分するには色々な問題が出てきて、処分するにも一筋縄では行かないことが多いです。
放置車両でも勝手に処分できない
理屈では自分の土地に放置車があれば勝手に処分しても文句は言えないはずと思いますよね。
実際は違うんです!
人の土地に無断で車を放置しているからといって、土地の持ち主がその車をかってに処分することはできないです。
「なんで、できないの?おかしいでしょ、勝手に放置しといて・・・」誰でもそう思いますが、車は法律上「動産」に区分されその車は財産の一つです。
他人の承諾なく他人の物を勝手に処分できないのと同じで人の車を勝手に処分することはできません。
それが自分の土地に放置されていたとしてもです。
もし、相手の承諾なく廃車にしてしまうと、不法行為責任や器物損壊罪に問われることもあります。(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料(刑法261条))
どうすれば処分できるのか
勝手に処分できないのだったらどうすれば処分できるの?と困るのはあたりまえです。
しっかりとした手順を踏まないと後々、車の所有者と問題になることもあるので慎重に進めなければ行けません。
まず、手順としては
- 警察に相談する
- 放置車両に警告文を貼る
- 自動車の登録情報を取得する
- 所有者を特定する
- 所有者に対して撤去の請求をする
- 裁判を起こして判決を得る
- 撤去処分
警察は基本的には民事不介入
「放置車のことを警察に言えば万事解決」と行けばいいのですが、そうでもありません。
警察は基本的には「民事不介入」の姿勢を取っていますので個人間の争いには首を突っ込みません。
ただし、犯罪などに使われた自動車や盗難車であれば警察が介入して捜査を行う必要があるので警察には犯罪などに使われた車かどうかその旨を調べてもらうと良いです。
この時点で犯罪の対象になっている車であれば警察がレッカーしてくれるので解決しますが警察が対応してくれない場合には次の手を考えなくてはいけません。
放置車両に警告文を貼る
警察が対応してくれないときは直接放置車の所有者に撤去の請求をします。
最終的に放置車の所有者が対応してくれないときは裁判での判決によって放置車両を撤去しますが、まずは所有者に対して撤去してくださいとお願いします。
前提として、自分の土地に勝手に車を放置しているので、こちらも土地の使用料を相手に請求することができます。
警告文にはこれらを記載して放置車両にはり付けます。
- 「勝手に車を放置されて迷惑だと言うこと」
- 「放置されているのを知った日を記載」
- 「期限を決めて期限の日までに自分で撤去しないとこちらで撤去する旨を記載」
- 「こちらで撤去した費用を放置車両の所有者に請求する旨を記載」
- 「こちらの連絡先などを記載」
はり付けるときはガムテープやセロハンテープだと傷がつくこともあるのでワイパーなどに挟んで対応します。
これでも放置車両の所有者から連絡がない場合には次の段階に進みます。
放置車両を撤去するにも所有者がわからなければ撤去もできません。
車の所有者を確認するにも車検証などの資料も手元にありませんよね。
そこで、陸運局で車検証に代わる「登録事項等証明書」を入手します。
この書類は車検証に書かれている内容と同じことが記載されている書類でこの書類を見れば誰が放置車両の所有者なのか確認することができます。
この書類を入手するには車のナンバー番号と車台番号、車台番号、ナンバー番号と放置車両の写真とその場所の地図のうちどれかが必要になります。
ナンバーと車台番号がわかれば良いですがナンバープレートが外されている場合や車台番号が確認できない場合など状況によって違いがあります。
車台番号の確認方法は車のボンネットの中やサイドメンバー、シート下、座席の足下など車の種類によって刻印されている場所が違います。
ナンバーもない、車台番号も確認できない場合には、陸運局で事情を話し「「登録事項等証明書」を発行してもらえるように交渉しましょう。
陸運局によって必要な書類が違いますのでお問い合わせをおすすめします。
「登録事項等証明書」が入手できれば所有者の名前と住所がが記載されています。
所有者に対して撤去の請求をする
「登録事項等証明書」で所有者の名前と住所がわかればその後は直接所有者に対して放置車を撤去して下さいと請求します。
NTTの104で所有者の連絡先が特定できれば直接電話して請求しても良いです。
連絡先が特定できなくて名前と住所だけの場合には書面で撤去のお願いをします。
どのような書面を用意すれば良いかというと、「内容証明郵便」と呼ばれる物で郵便局が書面の内容を証明してくれ「いつ・誰が・どのような内容が書かれている書面を・誰に出したのか」証明してくれます。
この郵便の良いところは「配達証明を付けることで」相手が受け取ったことも証明できます。
例えば、普通の郵便であれば本人が郵便を受け取っても「俺は受け取ってない」とか「そんなもの知らない」とかしらばっくれることも簡単です。
配達証明であればいつ書面を配達したのかを証明してくれるので、相手に対して「何日に届いているはずだよ」と言うことができ受け取っていないと反論できなくさせます。
内容証明郵便に書く撤去内容の中身については
- 車の情報(車種、ナンバー、車台番号など)
- いつから放置されているのか
- いつまで撤去してもらうか
- 撤去日までに撤去されない場合はどのように対処するか
- 撤去した際に得たお金の処分方法と無断駐車に対しての損害賠償請求をする旨
- 撤去費用に対して持ち出しがあったときは撤去費用の請求をする旨
- やむ得ない場合は裁判で決着を付ける旨
請求の内容に不備があるとまずいので弁護士などに依頼するのも選択肢の一つです。
裁判を起こして判決を得る
内容証明郵便を出しても反応がないときや車検証の住所にはもう住んでいない場合には裁判を起こす必要があります。
内容証明郵便を出しても無反応な場合には裁判を起こして裁判所から車を撤去してもよいと許可をもらい撤去することになります。
そのときに撤去する車に価値があれば、裁判所の命により競売が行われ売却代金を受け取ることができます。
車が無価値であれば放置車両を撤去して完了です。
裁判を起こすには、弁護士に依頼する必要があり費用も10万以上はかかってしまい、さらにその車に価値がなければ車の処分費用も払わなければならず出費も相当なものになってしまいます。
廃車専門の査定業者は放置車の処分に関しても相談に乗ってくれるので、放置車に悩んでいる場合、一度連絡して相談してみるのも一つの手だと思います。